胡蝶蘭が病気になったときや虫がついたときに使われる殺菌剤

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胡蝶蘭には傷口から入ってくる細菌などさまざまな病気になってしまう可能性や、虫のよる被害などがあります。

そんなときに頼りになるのが殺菌剤などの薬です。

この記事では症状ごとに使われる薬について紹介します。

1.軟腐病(細菌性と真菌性)に対して使用する殺菌剤

軟腐病とは細菌、もしくは真菌(カビ類)による病気です。

葉が少しずつ広がるように茶色く変色してきて、とろけだし異臭を放つようになったら、軟腐病の可能性が高いです。

細菌性の場合は傷口から菌が侵入し葉の表面に増殖していきます。

真菌性の場合は軟腐病の独特の悪臭はなく、患部も黒い斑点ができ進行が遅いです。

1-1.ストマイ水和剤

無機銅剤と抗生物質の組み合わせにより、糸状菌病害から細菌性病害まで幅広い病害に有効であり安定した防除効果があるため軟腐病の他細菌によって引き起こされる各種の病害にもおすすめできます。

ストマイ水和剤の使用方法

できるだけ早く、患部を多め(健全に見える部分も5mm~1cmほど余分に)に火炙りで消毒したハサミで切り取ります。

ハサミは切れ味の悪いものを使うと再び切り口を傷つけてしまうので、園芸用の切れ味のいいものを使いましょう。

ハサミで切った後は切り口とその周辺に、ゆるめのペースト状に濃く溶いた薬剤を筆で塗布しましょう。

希釈する量は商品に記載されている量を参考にしてみてください。

切り取った患部が他の葉や株に付着した場合は、放置せずに薬剤を塗布しておきます。

軟腐病は感染力が強く、進行の早い病気です。そのため気付いたら早めに手を打ちましょう。

1-2.ダイセン系殺菌剤

メジャーなものとして「ジマンダイセン水和剤」があります。

多くの作物の病害対策にもっとも広く利用されている殺菌剤のひとつで、国内では39作物の100種類を越える病害に効果があります。

真菌性(カビ類)にはMダイファーやビスダイセンなどが有効です。

殺菌、殺虫効果も高いですが希釈率をしっかり確認して使用しましょう。

ダイセン系殺菌剤の使い方

できるだけ早く侵された部分を切除します。(周辺の健全に見える部分も5mm~1cm多目に切除する)

切り口とその周辺に希釈した薬液を付けます。

もし切除した患部が他の葉や株に付着した場合は、薬液を付けるか熱消毒しましょう。

2.斑点性の病気、カビなどに対して使用する殺菌剤

胡蝶蘭の葉に黒色の斑点が発生する、カビが原因の病気です。初期症状としては淡褐色の小さな斑点が出ます。

放っておくと徐々に大きくなっていき、色が茶褐色や黒褐色へ濃くなってきます。

原因はカビ胞子の飛散によるものです。

2-1.ベンレート水和剤

ベンレート水和剤は、糸状菌に有効な薬剤です。

浸透移行作用により病原菌の侵入を防ぐ予防効果と、侵入した病原菌を退治する治療効果を兼ね備え、病原菌の細胞分裂を阻害して防除します。症状が出始めた初期に対処すると高い効果を発揮してくれるため、早めの対処が重要になります。

ベンレート水和剤の使用方法

規定の量を水で薄めて散布、もしくは塗布します。

下葉に症状が出た場合には切除してあげましょう。

2-2.STダコニール1000

草花、野菜、果樹など様々な植物で、かび類(糸状菌)によって起こり、特にもち病や炭そ病、斑点病など葉が変色するタイプの広範囲の病気に効果がある優れた園芸用の総合殺菌剤です。

耐光性、耐雨性に優れ、病気から植物を守る残効性があります。また各種病原菌に対しても抵抗性がつきにくい、優れた効果の保護殺菌剤です。

STダコニール1000の使い方

使用直前に容器をよく振ります。石灰硫黄合剤との混用は避けて使用してください。

水で薄めて患部に散布します。

このとき花弁に薬液が付着すると漂白・退色などによる斑点を生じる場合があるので、すでに開花した株を治療する際には散布ではなく筆などで塗布してください。

2-3.オーソサイド中和剤80

かび類(糸状菌)によって起こる広範囲の病気に優れた効果を発揮する保護殺菌剤です。

花や庭木、野菜類などの広範囲の病気にも優れた効果を発揮し、植物への薬害が少ない殺菌剤となっています。

オーソサイド中和剤80の使用方法

使用方法は規定の量を水で薄めて散布するだけです。

石灰硫黄合剤、ボルドー液等のアルカリ性薬剤及びマシン油剤との混用はさけてください。

3.葉焼けに対して使用する殺菌剤

胡蝶蘭は直射日光を浴びると葉が傷んで変色してしまいます。茶色や黄色、白っぽく乾いた感じに変色した場合には直射日光に長時間当てたことが原因と考えられます。

根に近い低い位置にある葉が黄色や茶色に変色し、葉が薄くしわしわになってくる場合は養分回収のために起こる自然現象であり、特に問題はありません。

3-1.エムダイファー水和剤

 

葉焼けによって病原菌に弱くなってしまうのですが、エムダイファー水和材は有機硫黄系の殺菌剤で細菌・カビ類の広範囲の病気の予防に効果が期待できます。

エムダイファー水和剤の使い方

エムダイファー水和剤は、水に薄めて散布します。葉焼けした部分を切り取った場合、切り取り口にも散布しましょう。

4.カイガラムシに対して使用する殺菌剤

カイガラ虫は胡蝶蘭の発生する害虫の中で一度発生すると完全に駆除する事が難しい害虫の一つです。感染ルートは外の樹木から風に乗って飛んでくる場合や既に胡蝶蘭や植物に付着しいるケースがほとんど。

カイガラ虫は胡蝶蘭の養分・水分を吸い取りますので、発見した場合はこすり落とすだけでなく、カイガラ虫に有効な薬を必ず散布する事が必要です。

カイガラムシを放置すると、フンに菌が繁殖しそこから葉が腐るなどの被害をもたらします。

一度大量発生してしまうと完全に駆除をするのが難しく、気づいたときにすぐに対処をしましょう。

4-1.スプラサイド乳剤

スプラサイド乳剤は、「カイガラムシの特効薬」と呼ばれる、カイガラムシ虫害の定番薬剤です。即効性が高く、初期の治療に適しています。

スプラサイド乳剤の使い方

発生初期段階に水で希釈して散布します。

繁殖してからだと効果が薄くなるので、早めに対処することが大切です。

4-2.ベニカDスプレー

ベニカDスプレーは、スプレー状の薬剤です。カイガラムシだけでなく、アブラムシ、ケムシなどにも殺虫効果があります。

ベニカDスプレーの使い方

カイガラムシのいる葉に向かって原液で散布します。

白い綿状のフワフワしたものはコナカイガラムシ(ワタカイガラムシ)という種類で、こちらはガーゼやティッシュで拭き取ったあと、ベニカDスプレーを散布しましょう。

5.ダニ

胡蝶蘭に付着するダニはハダニやコナダニが主となります。

胡蝶蘭の葉の裏側がべたつき、白斑が見られた際に、その白斑のくぼみに針の先端ほどの赤いダニが見える場合それはハダニになります。

コナダニの場合、寄生すると胡蝶蘭のお花がしおれますので綺麗に並んだ胡蝶蘭の花の内、1輪だけが突然萎れた場合にはこのコナダニが原因である場合があります。

ただコナダニは非常に小さく肉眼で見つけるのが難しいため注意が必要です。

5-1.アクテリック乳剤

接触およびガス効果により速効的に効果を示す有機りん殺虫剤です。広範囲の害虫に対して効果があります。

アクテリック乳剤の使い方

水で希釈して散布します。即効性が高いので発生したあとにも効果があります。

まとめ

症状ごとに有効な薬を紹介しました。

どの病気や虫も早めの対処が重要になります。

胡蝶蘭に異変を感じた際はぜひ参考にしてみてください。