胡蝶蘭を育てようと思って、他のお花のように土に植えようと思っている方は待ってください。
胡蝶蘭は土では育たないどころか、胡蝶蘭をだめにしてしまいます。
土ではなく何をつかうのでしょうか?この記事では胡蝶蘭を育てる上でおすすめの植え込み材を紹介します。
1.胡蝶蘭は土では育たない植生植物
台湾やフィリピン、タイ、インドネシア、マレーシアなど赤道付近の高温多湿地域に自生する野生の胡蝶蘭は、年間を通して温かく湿潤な気候のなかで過ごす着生植物です。
着生(ちゃくせい)植物とは土の中に根を張らず、大きな岩や木に寄生するようなかたちでくっつき、空気中に根を伸ばしていく植物のこと。
ですので自宅で生育する場合も土に植えるということはないです。鉢で生育する場合、水苔やバーク(木のチップ)といった植え込み材を使うのが一般的です。
胡蝶蘭は空気中からも水分や養分を吸収する習性があり、少ない水分や栄養だけでも生きていけると言われています。
このため胡蝶蘭は、気温15~25度、空気中の湿度は60~80%の環境を好み、温度が低いことと、乾燥に非常に弱いです。
2.胡蝶蘭を育てる理想の環境
胡蝶蘭を健康に育てる理想の環境は、やはり生息地に似た環境をつくってあげることです。
特に、温度、湿度、光、通風の4つが重要なポイントになります。
その中でも植え込み材は、湿度、通風の2つに大きく関係しており、胡蝶蘭を育てる上で大切な要素です。
胡蝶蘭の根は、以下のような環境を作り出してくれる植え込み材が理想といえます。
- 鉢の中に大量の水を流したら、鉢の上に水だまりができず、一気に鉢底から流れ落ちるようなもの
- 水をあげた後も、鉢の中が蒸れないもの
- 湿度が高い場合は、鉢内が比較的早く乾くもの
このことからも胡蝶蘭を土に植えてしまうのは絶対に避けなければいけません。
これらの特徴を抑えたものが理想の植え込み材といえます。
3.植え込み材として使われる水苔とバークの特徴
植え込み材として使われる水苔とバークの特徴について紹介します。
3-1.水苔
日本では胡蝶蘭の植え込み資材に水苔を使用するのが一般的とされています。本来であれば、水苔は保水力が高く少し蒸れやすいので胡蝶蘭にとって水苔では通気性が低いです。
しかし梅雨の時期を除けば、胡蝶蘭の生息地である熱帯雨林と比べて日本は湿度が低くなります。そのため、水苔は他の植え込み材に比べて保水力がいので、水やりの頻度を減らすことができるなどの利便性に優れています。
また日本において、植え込み材ごとの胡蝶蘭の生育に関する実験では、植え込み資材に水苔を使用して育てた胡蝶蘭が一番株も大きく、輪数(咲く花の数)も多くなったという結果が得られているようです。
水苔を使って水をあげる場合は、必ず手で触ってみて乾燥しているか確認してからあげましょう。
3-2.バーク
バークとは松などの樹皮を細かく砕いた木のチップです。本来は植物が植わっている土の表面を覆う目的で使用されますが、胡蝶蘭の鉢に使用する場合は植え込み資材として使います。
胡蝶蘭は元々樹木に根を張って生育する植物なので、バークは植え込み資材として適しています。日本では水苔が一般的ですが近年、日本でもバークが注目されています。
しかしバークは水苔に植え込みされた胡蝶蘭よりもナメクジなどの害虫が発生しやすく、鉢の中の乾き具合が分かりにくいデメリットがあります。
また、胡蝶蘭を枯らしてしまう一番多い原因は水の与え過ぎによる根腐れです。根がしっかりと乾燥する前に水を与えてしまい、常に根が湿っている状態にしてしまうのです。
バークであれば、胡蝶蘭のことを知らずに毎日水やりを行ったとしても、水苔ほど保水力はなく乾燥しやすいため根腐れを起こしにくい植え込み資材といえます。
ただ、水苔同様に水のやりすぎは根腐れの原因となってしまうため、水を与える頻度は乾いているのを確認してからにしましょう。
まとめ
根が蒸れてしまうと胡蝶蘭は根腐れを起こしてしまいます。
通気性のよい水苔やバークを植え込み材として使って、胡蝶蘭にとって理想的な環境を用意してあげましょう。
カシマ洋蘭園のスタッフです。胡蝶蘭のお世話のやり方や贈る際の注意点など、わからないことがあればぜひ参考にしてみてください