デンドロビウムってどんな蘭?デンドロビウムの花言葉や種類、育て方を解説

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色とりどりの形や色で見る人の心を奪う「デンドロビウム」。

初心者の人にとっては育てるのが難しそうに思われる花ですが、育てやすい種類はたくさんあります。

回は、デンドロビウムの特徴や育て方、植え込み手順について詳しく紹介します。

1.デンドロビウムとは

デンドロビウムは、日本やニュージーランド、ネパールやオーストラリア、熱帯アジアが原産とされている洋ランです。別名「デンドロビューム」や「チョウセイラン」、「セッコク」と呼ばれることもあります。

原種の数は1,000を超えると言われており、形は胡蝶蘭に似ています。

色はピンクや赤、オレンジや白、青や黄色など彩り豊かです。デンドロビウムは、他の木に着生して育つ生態からその名が付けられました。

ギリシア語で「樹木」を意味する「dendron」と「生活」を意味する「bion」が語源とされています。

学名 Dendrobium
科・属名 ラン科セッコク属(デンドロビウム属)
英名 Dendrobium
原産地 アジアの温帯~熱帯、オーストラリア、ニュージーランド
開花期 3月~5月頃
花の色 ピンク、赤、オレンジ、白、紫、黄色、緑色、褐色

2.デンドロビウムの花言葉

デンドロビウムの花言葉は、圧倒的な美しさから由来する「わがままな美人」「天性の花をもつ」です。

デンドロビウム

3.デンドロビウムの系統

デンドロビウムにはいくつかの系統があります。それぞれの特徴や開花時期、色などをここで紹介します。

ノビル系

ノビル系のデンドロビウムは、節のある茎状のバルブをほぼ直立に伸ばして生育し、毎年数本のバルブを伸ばして、節々に花芽をつけ開花します。

ネパールやミャンマー、ブータンやインド東北部、日本が原産国となっており、中でも日本での品質改良は世界トップレベル。日本原産のセッコクとの交雑も進み小型のノビル系も増えてきました。名前の由来は原種である「ノビル」からきています。

草丈は20cm~60cm。開花時期は2月~5月でピークは3月~4月です。

色は、白やピンク、オレンジや黄色、緑などがあります。ノビル系の花言葉は、「謹厳実直」。茎が太くてしっかりしており、まっすぐ直立して育つ性質から、相応しい花言葉と言えます。

デンファレ系

デンファレ系は、「デンドロビウム・ファレノプシス」を略した呼び名です。

原産国は、オーストラリアやニューギニアで、直立した花茎の先端に、花径5cm~8cmの淡い紫紅色の花が数個から十数個小さい胡蝶蘭のような花を咲かせます。

この花の形に由来し、ファレノプシスは「蛾のような」という意味を持っています。ノビル系と比べると寒さに非常に弱いですが、日光は好きなので日の当たる場所に置いて太陽の光をたっぷりと与えてあげましょう。

また、デンファレ系の花は、夏の花が少ない時に咲くことがあるため、花好きには喜ばれます。

キンギアナム系

キンギアナム系は、オーストラリア原産の原種デンドロビウム・キンギアナム系をもとに交雑育種された交配種群です。

オーストラリアでPhillip Parker Kingによって発見され、「デンドロビウム・キンギアナム」と名付けられました。草丈は15cm~50cm。上部の葉の間にある節から花茎を伸ばして、たくさんの小輪花を穂状に咲かせます。

色は、白やピンク、黄色や赤、紫などです。最近では改良が進み、色のバリエーションが増えてきました。香りは比較的強いものが多いです。

開花期は2月~5月で、3月~5月がピークとされています。耐暑性・耐寒性が強いことから初心者でも育てやすく、日光を好むため、「日当たりが悪い場所に置かないこと」が、キンギアナム系を上手に育てるための重要なポイントです。

因みに、キンギアナムは、4月1日の誕生花。花言葉は「安全」「真心を伝える」です。

フォーミデブル系

フォーミデブル系は、「フォルモスム」と「インフルデブルム」を掛け合わせて作られます。

花の色は白で、花びらの喉部分はオレンジ色です。草丈は50cm~80cmで開花期は、5月~7月と12月です。

主に鉢花として出回ることが多いのですが、実は暑さにも寒さにも弱いという特徴があります。そのため、夏は涼しい場所に、冬は8℃~10℃の場所にというように、適切な温度の場所に設置するようにしてください。

因みに、夏場は洋ランの種類が少ない時期に当たるため、ギフト用としても人気があります。

カリスタ系

ノビル系やデンファレ系がその名の元になった原種を中心とした交配品種であるのに対し、カリスタ系やそのような血縁関係は薄いとされています。

カリスタ系は、「花が房のように垂れ下がる」という外見的な特徴でまとめられたもので、花数が多く豪華に見える所が美点とされています。

花の色は、白やピンク、黄色など多様です。開花期は、冬~初夏にかけてが多く、タイやインド、ミャンマーが原産国となっています。

デンドロビウム

4.デンドロビウムの育て方のポイント

デンドロビウムを上手に育てるためにはいくつかのポイントがあります。育て方のポイントについて、初心者でも分かりやすくここで説明します。

4-1.置き場所

デンドロビウムは、春と夏、秋と冬の気温に合わせ、適切な場所に置く必要があります。どの季節にはどの置き場所が適切であるのか。ここで紹介します。

春・夏の置き場所

デンドロビウムは、日当たりが良く風通しが良い場所を好みます。とは言っても直射日光は良くないので、3月下旬頃からは、屋外の明るい日陰か、直射日光ではない柔らかい日が当たる場所に置きましょう。

5月~9月頃になると日差しが強くなったり、梅雨や台風によって雨にさらされやすくなりますので、軒下などに移動させるか、若しくは室内のカーテン越しに日が当たるようにしてあげましょう。

秋・冬の置き場所

デンドロビウムには、ある程度耐寒性がありますので11月下旬~12月上旬ぐらいまでは屋外に置いておいても大丈夫です。もし、夏に屋内に入れていたとしても11月になったら屋外へ出してあげましょう。

デンドロビウムは、寒さに当たることで花芽がつくという特徴があるため、上手に咲かせるためには、気温6℃~8℃の場所に10日程度置く必要があります。

しっかり寒さに当てたら、春になるまで室内の窓ガラス越しに置いてください。

デンドロビウム

4-2.水やり

春・夏の水やり

春~夏にかけての水やりは、土や植え込み材が乾いていることを確認してから、株元にたっぷりとあげましょう。デンドロビウムは加湿を嫌いますので、土や植え込み材が湿っている場合は水やりをストップさせてください。

湿っている状態の上に水をたっぷり与えてしまうと根腐れの原因となってしまいます。

とはいえ、デンドロビウムは気温が上がるにつれて生育期を迎えるため水切れさせないのもポイントです。特に、夏の時期になると水の吸い込みも早くなりますので、朝や夕方にしっかりと水を与えてあげましょう。

秋・冬の水やり

秋と冬は、水を吸い込むスピードも落ちてしまうと共に10月以降は休眠期に入ってしまうので、毎日たっぷり与えるのではなく、徐々に与える頻度を減らしていき、最終的には月に1回~2回くらいのペースを目安にしましょう。

因みに、室内に入れた後、こまめに霧吹きで葉に水をかけておけば、葉のツヤが良くなります。

デンドロビウム

4-3.肥料

デンドロビウムに与える肥料は、洋ラン用の緩効性肥料、若しくは液体肥料がおすすめです。

緩効性肥料は、製品表示の効果持続期間に従って1ヶ月~2ヶ月に1回ほどを目安に、液体肥料なら10日に1回、水で希釈したうえで水やりの代わりに与えましょう。

因みに、肥料を与える時期は4月~7月が最適です。8月以降に肥料を与えてしまうと花芽がつきにくくなりますので、注意してください。

4-4.植え替えの時期

デンドロビウムの植え替え時期は、気温が上がってくる4月~5月の間が最適です。目安としては、花が全て咲き終わった春頃。

植え替えの頻度は2年~3年に1回程度ですが、植え込み材が傷んでいたり、鉢の中に根がたくさん回っているのであれば、植え替えてあげましょう。

4-5.使用する植え込み材

デンドロビウムは着生ランの一つなので、一般的な草花用の培養士ではなく、水苔やベラボン、ラン用バークやラン用培養士などの植え込み材を利用しましょう。

主流となっているのは一番安価な水苔ですが、水苔は保水性が高いため通気性の良い素焼き鉢と併せると尚よいでしょう。

もし、素焼き鉢と併せるのも面倒だと感じる場合は、ラン用培養士がおすすめです。ラン用培養士は、ラン用のバークや赤玉土、軽石などが適度なバランスでミックスされているので、保水性、排水性、通気性どれをとっても抜群です。

4-6.害虫

デンドロビウムは、アブラムシやカイガラムシ、ナメクジなどの害虫の被害に合う場合があります。特にアブラムシはウイルス性の病気を媒介する恐れもあるため、見つけた時はすぐに駆除しましょう。

カイガラムシの成虫は歯ブラシなどでこすり取れば大丈夫です。ナメクジは駆除剤などを利用して対応しましょう。

4-7.病気

デンドロビウムは、花びらに褐色の斑点がでる「灰色かび病」や、葉に褐色の斑点がでる「褐斑病」、ウイルスが原因で葉に黄色い模様がでる「モザイク病」などにかかることがあります。

菌による病気であれば、すぐに患部を取り除くことで蔓延することを防げますが、ウイルスが原因の場合は、対処法法がないので株ごと処分しなければなりません。

デンドロビウム

5.デンドロビウムの植え替えの手順

5-1.水やりを1週間以上控えた後、高芽を摘む

植え替えをする前は水やりを一週間以上控えて乾燥させておきます。

その後、高芽を摘むのですが、摘み方としては、手で捩じるようにして摘み取ります。高芽は、花芽になるはずが葉芽になってしまった芽のことです。茎の途中から白い根が出ていたら初根部より上は高芽ですので、摘み取ってしまいましょう。

5-2.変色した古い葉も剪定する

高芽を摘み取ったら、変色した古い葉も摘み取りましょう。もし、この時点でデンドロビウムを増やしたいと考えているならば、根が出ている高芽は捨てずにとっておきましょう。

高芽は株分けに利用することができ、デンドロビウムを増やすことができます。

5-3.鉢からデンドロビウムを取り出す

高芽と変色した古い葉を摘み取ったら、鉢からデンドロビウムを取り出します。デンドロビウムの根は細いため、無理に抜いてしまうとすぐに切れてしまいます。

引っ張っても抜けない場合は、慎重にほぐしながら根元を持って、優しく取り出してください。

5-4.黒っぽく変色した根は切り落とす

デンドロビウムを鉢から取り出したら、古いラン用培養士を落とします。すると、根の部分の状態がはっきりと見えますので、黒っぽく変色している部分はハサミで切り落としましょう。

健康的な根は白いので、見分けやすいです。

5-5.植え込み材を詰めて新しい鉢に植え替える

黒っぽく変色した根を切り落としたら、新しい鉢に植え込み材を詰めてデンドロビウムを鉢に植え替えます。ラン用培養士やバークを使う場合は、鉢の底穴をネットで塞ぎ、底石を敷き詰めてから植えてください。

植え方のポイントとしては、新しい鉢にデンドロビウムを仮置きし、支えながら隙間に土を入れていきます。

鉢を揺らしながら行うと、根の間に土が入りやすくなり、綺麗に植え替えができます。

まとめ

 デンドロビウムについて紹介しました。デンドロビウムと一言で言っても、その系統は様々で、色や形の種類も豊富です。

気温に合わせた管理を行うことで綺麗な花が咲きますので、今回紹介した内容を参考にして、デンドロビウムを育ててみてはいかがでしょうか。