蘭(ラン)の種類や分類、その育て方について解説

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ひとえにラン(蘭)といってもその種類は野生種だけでも約1~3万種と膨大な種類があり、園芸用として品種改良されたシュル類も含めれば、その数はさらに増えます。

それだけランの種類は豊富なのですが、ランはどのような分類に分かれているのでしょうか?

今回はランの種類の分類のされ方や代表的なランについて紹介します。

1.ランの分類の基準は2つ

1-1.生息地を基準とした分類

生息地でランを分類する場合、日本や中国が原産のランを「東洋ラン」と呼び、それ以外の地域が原産のランを「洋ラン」と分類されます。

代表的な東洋ランと洋ランには以下のようなものがあります。

代表的な東洋ラン シュンラン、カンラン、フウラン、チュウゴクシュンラン、イッケイキュウカ、ケイラン など
代表的な洋ラン コチョウラン、シンビジウム、オンシジウム、デンファレ、デンドロビウム、カトレア、バンダ、パフィオペディラム などなど

1-2.根の生え方を基準とした分類

胡蝶蘭の根の生え方には「着生ラン」と「地生ラン」の2種類があります。

着生ランはラン科の植物の中でも、樹木に根を張って着生し、成長していくランです。主に熱帯、亜熱帯に分布しており、「気根」から空気中の水分を吸収し、 肉厚の葉や太く膨らんでいる茎に水分、養分を蓄えています。

一方、地生ランは着生ランが樹木に根を張るのに対して、地中に根を張り地中に含まれる養分や水分を吸収して生育しているのが地生ランです。

どちらも共通点として、熱帯から亜熱帯地帯に広く分布しています。

代表的な着生ラン カトレア、バンダ、コチョウラン、デンドロビウム、オンシジウム など
地生ラン パフィオペディラムやエビネ、シュンラン、クマガイソウ、サギソウ、シンビジウム(半地生ラン) など

2.東洋ランの代表的な種類

2-1.シュンラン

シュンランは、日本の北海道から九州に広く分布している野生ランです。日本では別名としてホクロ、ジジババなどとも呼ばれています。

主に里山や人里に近い山地の雑木林などに自生し、古くより季節の花や祝いの花として親しまれてきました。

その素朴な見た目から「気品」「清純」「控えめな美」「飾らない心」という花言葉を持っています。

シュンラン

シュンランの育て方のポイント

一年中、半日陰になる場所を好みます。

水やりの基本としては、用土が乾いたら水をあげるようにしましょう。基本を守りつつ、春と秋は朝、夏は夕方から夜にたっぷりと水をあげてください。

2-2.カンラン

カンランは日本の本州以南の暖かい地域に自生する東洋ランです。現在では環境省のレッドリストでも絶滅危惧種に指定されているほど、野生の数を減らしており、ほとんど野生のものを目にすることはありません。

カンランは漢字で「寒蘭」と書き、10~1月の寒い時期に花を咲かせます。花を咲かせると、とてもよい香りを漂わせることにちなんで「熱意」という花言葉が付けられました。

カンラン

カンランの育て方のポイント

カンランは直射日光が当たらない程度に軽く遮光した状態で日の光が当たるようにしましょう。

水やりは土が乾いてきたら、鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水やりをします。長い間土が乾くとすぐに枯れてしまうので注意が必要ですが、常に土が湿った状態だと、根腐れを起こしてしまうので、あげる頻度は土が乾いているのを確認してからにしましょう。

2-3.フウラン

フウランは、うどんのような白く太い気根を長く伸ばし樹木や岩の上に着生する、常緑の多年草です。

野生のフウランは関東以西で四国や九州の温暖な気温の地域に自生していますが、カンラン同様に環境省のレッドリストでも絶滅危惧種に指定されているため、目にする機会は多くありません。

フウラン

フウランの育て方のポイント

フウランは一年を通して軽く遮光された風通しの良い場所を好みます。

水やりは水苔の場合、表面が乾いてから1~2日たってから与えます。冬の間は週1回、霧吹きで軽く湿らせる程度にしましょう。

3.洋ランの代表的な種類

3-1.胡蝶蘭(学名:ファレノプシス)

日本でランといえば、もっとも馴染みがあるのがこの胡蝶蘭ではないでしょうか。蝶が舞っているような花の形からその名前が付けられ、そのイメージから「幸せが飛んでくる」「純粋な愛」といった贈り物にも縁起のいい花言葉を持っています。

縁起がいいこと以外にも、黄色や紫、珍しいものでは青色などの種類の豊富さや、サイズも大きいものから中型のミディ、小型のミニまであるので、贈り物としての選びやすさも嬉しいポイント。

胡蝶蘭の育て方のポイント

まずプレゼントとしていただいたものであれば、ラッピングは外しましょう。

胡蝶蘭は花が散ったら終わりではなく「二度咲き」ができるお花です。機会があれば以下の記事で詳しく解説しているので、そちらを参考にしてみてください。

胡蝶蘭の育てる上でもっとも気をつけたいのが「根腐れ」です。胡蝶蘭の水やりは「植え込み材が完全に乾いてから」が基本であり、普通のお花のように1日に1回のような頻度で水をあげると水のやりすぎによって根が腐ってしまう、「根腐れ」になります。

置き場所は基本的にカーテンレース越しに日があたる場所で、低温や乾燥したときは注意を払ってあげましょう。

胡蝶蘭

3-2.カトレア

洋ランの女王」と称されるカトレアは交配によって、新しい品種がどんどん誕生しており、愛好家も多く人気な洋ランです。

胡蝶蘭同様、色や大きさにさまざまな種類があり、大輪系は贈答品やブーケやコサージュなどにもよく利用されます。

ミディサイズやミニサイズは家庭でも栽培しやすい大きさのため人気です。

カトレアの育て方のポイント

一年を通して日当たりのいい場所が好ましいですが、他のラン同様に直射日光は葉焼けするのでNGです。

カトレアは元々高い木の上に着生している植物のため、雨で濡れた後乾くことを好み、水やりはメリハリが大事になります。春半ばから秋の初めまではたっぷりと与え、秋の終わりから冬は比較的乾かし気味で栽培します。蕾が伸びてきたら冬でも水は切らさないようにしましょう。

カトレア

3-3.デンドロビウム

デンドロビウムは品種がとても多く、アジア一帯の亜熱帯から温帯にかけて1600種類ほどが自生しており、日本にもセッコクという品種が自生しています。

ランの中では比較的寒さに耐性があり、ヒマラヤ山麓にも自生するなど、丈夫なランです。

デンドロビウムの育て方のポイント

デンドロビウムは花が咲き終わったら、萎んだ花がらを摘み取ります。全部の花が終わったら、株の根元に丸く大きくふくらんだバルブと呼ばれる茎の変形した部分があり、バルブの根元から花茎をはさみでカットしましょう。

このときの注意点は花茎をカットする際、バルブを切るとその後生育しなくなってしまうため、バルブを切らないようにしてください。

水やりに関しては胡蝶蘭同様、植え込み材が完全に乾いたのを確認してからあげるようにしましょう。日当たりについては他のラン同様、遮光してあげてください。

デンドロビウム

2-4.シンビジウム

シンビジウムは、東南アジアから日本にかけて自生する原種を交雑育種してできてきた洋ランです。ランとしては珍しく、寒さに強くとても丈夫で、定期的に植え替えを行い、日当たりのいい場所に置いておけばよく育ち、きれいな花を咲かせます。

シンビジウムの育て方のポイント

日当たりがよく、風通しのよい環境を好みます。寒さには強いため、冬に室内に取り込んでいるときも暖かい日中は少し外気に当てるようにするといいでしょう。

春に新芽を出してから秋にバルブが大きく太って完成するまでは、乾かさないようにたっぷり与える必要があり、特に夏は毎日十分な水をあげましょう。

秋から冬にかけては表面が乾いているのを確認してから数日おきにたっぷりと与えます。

シンビジウム

まとめ

ランの種類や分類について紹介しました。

ランには膨大な種類がありますが、それぞれ種類ごとに見た目の美しさや育て方の違いがあります。

ぜひ参考にしてみてください。