シンビジウムというお花をご存じでしょうか?
名前は聞いたことある気がするけど、どんなお花なのかはわからないという方もいるのではないでしょうか。
この記事ではシンビジウムというお花の特徴や、花言葉、育て方のポイントなどを紹介します。
1.シンビジウムとは
シンビジウムはラン科の植物で、東南アジアから日本にかけて自生する原種を交配してできた洋ランで、カトレア、パフィオペディルム、デンドロビウムとともに4大洋ランといわれています。
日本に始めて持ち込まれたランもこのシンビジウムで、1859年にトーマス・グラバーによって持ち込まれました。
日本でランといえば胡蝶蘭が挙げられますが、胡蝶蘭などのランなどよりもシンビジウムはとても丈夫で、寒さにも強いという特徴があります。
基本的には大きなお花を持っているシンビジウムですが、近年は品種改良によって小型のテーブルシンビや中国や日本に自生しているシュンランと交配された「和蘭」も人気が出てきています。
シンビジウムの花
シンビジウムの株の根元にはバルブと呼ばれる茎が変形した部分があり、この部分に養分や水分を溜め込んで生育します。
育つとバルブの横から花茎を直立からアーチ状に伸ばして開花しますが、最近は下垂性といって、下向きに垂れて咲く種類も増えています。
開花の時期は12月~4月の間に年に1度咲きます。1つの花茎から多いときは10個以上の花を咲かせ、きちんとした環境を整えてあげれば2ヶ月ほど咲き続ける花持ちのよさも人気な理由の一つです。
2.シンビジウムの花言葉
シンビジウムの持っている花言葉は「飾らない心」「素朴」です。
シンビジウムのは優しく淡い色合いの花が多く、落ち着いた美しい魅力があることからこのような花言葉がつけられています。
3.シンビジウムの種類
シンビジウムはインド北部~ミャンマー、タイ北部、フィリピン、インドネシア、オーストラリアなど広い地域に約60~70種類が分布しています。シンビジウムは花の大きさから3つに分けられます。
大型種
大型種は花の大きさが10cm以上で、葉の長さが100cm以上の種類を指します。
大型種はインド原産のシンビジウムから作られました。
中型種
大型種に小型種をかけ合わせた品種になります。ほどよい大きさなので人気があり流通している品種の数も多い種類になります。
「キャスケードタイプ」という枝垂れる(しだれる)タイプもあります。
小型種
大型種にシュンランなどの小さな種類を交配して作られたもので、花の大きさが5~6cmで葉も短いため、「テーブルシンビ」とも呼ばれています。
4.シンビジウムの育て方のポイント
置き場所
年間通して日が当たり、涼しく風通しのよい場所を好みます。そのため、冬以外は戸外での栽培が適しています。
5月上旬から9月上旬は、直射日光によって遮光率の低い遮光ネットなどを張り、強い日ざしを避けるようにしてあげましょう。
土作り
一般的な園芸用の土はシンビジウムにとっては保水性が高すぎて、根腐れの原因となってしまいます。
軽石を単品で使うか、軽石8:バークチップ2か、日向土6:パーライト4の割合で混ぜた、水はけのよい土が適しています。
水やり
4月〜9月にかけては成長期で水をたくさん必要とするため、土の表面が乾いているのを確認してから、1日に1~2回たっぷりあげてください。
秋から冬にかけてはそこまで水を必要とはしていないため、週に1~2回程度で十分ですが、蕾が伸び始めたら水やりの回数をふやしていきましょう。
水のあげすぎは根腐れにもなるため、注意が必要です。
肥料
成長期の4月~9月は置き肥に加えて、2週間程度に1度の頻度で液肥を与えましょう。
成長期以外のタイミングで肥料を上げてしまうと栄養過多になってしまうので、成長期以外のタイミングの肥料は必要ありません。
病気
シンビジウムは「軟腐病」に要注意です。
葉が少しずつ広がっていくように茶色く変色し、とろけだして悪臭を放つようになったら軟腐病の可能性が高いです。
軟腐病は気温と湿度の高い夏によく発生し、発生原因は直射日光による葉焼けで傷んだ箇所からなることが多い病気となっています。
軟腐病が発生した場合は、園芸用の切れ味のいいハサミを火炙りで消毒してから患部を切り取って取り除き、ベンレートやダコニールなどの薬を切り取った患部に塗布しましょう。
害虫
アブラムシ、ハダニ、カイガラムシに要注意です。
これらの害虫は植物に寄生して汁を吸い、寄生した植物を弱らせてしまいます。見つけ次第薬剤を散布して駆除しましょう。
植え付け、植え替え
シンビジウムは2年に1回の頻度で植え替えをしてあげましょう。植え替えにもっとも適している時期は4月ごろの春になります。
用意する鉢の大きさは2年後には株がはみ出すくらいのやや小さめの鉢を選びます。植え替えをする際は枯れた根や黒くなってしまった根は消毒したハサミで切り落としましょう。
芽かき
多すぎる新芽を間引くことを「芽かき」といいます。間引くことで芽の一つ一つに十分な栄養を与えることが目的で、5月ごろに芽かきをします。
6号鉢に収まっているサイズであれば、生育のよい新芽を3本ほど残してあとは取り除きます。
また、11月ごろにはバルブの基部から出てくる葉芽を間引く、「葉芽かき」の作業をします。
葉芽は見た目が似ているので花芽と間違えやすいのですが、花芽がふっくらしているのに比べ、葉芽はほっそりとした形が特徴です。
まとめ
シンビジウムというお花の特徴や、花言葉、育て方のポイントなどについて紹介しました。
シンビジウムは胡蝶蘭に比べると丈夫なお花ですが、育て方にもきちんとポイントがあります。
きちんとした環境で育ててあげれば、とても花持ちのいいお花でもあるので、ぜひシンビジウムを育ててみてはいかがでしょうか。
カシマ洋蘭園のスタッフです。胡蝶蘭のお世話のやり方や贈る際の注意点など、わからないことがあればぜひ参考にしてみてください