お祝いなどでいただくことが多い胡蝶蘭。
できるだけ長く育てるにはどれくらいの温度で管理するのが適切なのでしょうか。
今回は、胡蝶蘭を長く楽しむための適切な温度についてご紹介します。
季節に応じての温度管理や注意点などにも触れているので、育てる時の参考にしてみてください。
1.胡蝶蘭を育てるのに適した温度はどれくらい?
熱帯雨林が原産地の胡蝶蘭は、温かい場所を好みます。胡蝶蘭を育てるために適した温度は15~25度とされています。また、日中と夜で5度くらいの温度差があるのが理想的です。
しかし、日本には四季があり、夏には40度近くまで気温が上がったり、場所によっては冬には氷点下の気温となります。1日を通して朝晩で温度管理をするのはそう簡単ではありません。一般のご家庭で育てる場合には、20~22度くらいを目安として考えておけば十分です。
日本の気温の変化は、胡蝶蘭にとっては大きなダメージになることもあります。そのため、温度変化の激しい窓際などは特に注意が必要です。できる限り、温度変化の少ない、温かい空気が通るような置き場所を選ぶようにしましょう。
1-1.胡蝶蘭の置き場所の注意点
置き場所で特に気をつけたいのは、ベランダなどの室外に置く場合です。室外は遮るものが少なく直射日光が当たることが多くあります。胡蝶蘭は適度な日光は好みますが、直射日光は苦手です。
そのため、コンクリートに直置きすると下から熱が伝わってしまい、胡蝶蘭を弱らせる原因になってしまうのです。どうしても室外のコンクリートの上で育てるのであれば、花台を使用しましょう。できるだけ直射日光の当たらない場所に花台を置き、その上で胡蝶蘭を育てるなど工夫が必要です。
胡蝶蘭は、適度な湿気と日光、そして、風通しの良い場所を好みます。胡蝶蘭が好む環境作りをすることで元気に長く育ってくれるでしょう。
胡蝶蘭の置き場所に適していない環境例
- 気温が10度前後と低くて暗い場所
- 日光が届かない場所または日光が常に当たる場所
- 時間帯によって高温になりやすい場所(特に屋上やベランダは要注意)
- 温度は適温でも、エアコンの風が直接当たってしまう場所
- 乾燥している場所
などは胡蝶蘭が育ちにくい環境なので、置き場所には適していません。
カーテン越しで柔らかい日光が入る、風通しの良い場所で育てるようにしましょう。
時間帯や季節に応じて温度がや日当たりが変化する場合には、その都度置き場所を変更するように心がけることも大切です。
2.部屋の温度が高すぎる/低すぎるとどうなる?
胡蝶蘭を育てる上で温度管理は非常に大切。適切な温度でなければ、変色したり、枯れたりして育たなくなってしまうからです。
部屋に胡蝶蘭を置いておく際の温度による注意点を見てみましょう。
2-1.部屋の温度が高すぎるとどうなる?
基本的に胡蝶蘭は高温多湿な環境を好みます。日本の夏は比較的、高温多湿のため胡蝶蘭の原産地と近い環境です。夏場はそこまで神経質にならなくても育ちやすいでしょう。しかし、近年夏場の気温が上昇傾向にあります。
室内でも異常なほど暑くなる場合もあるので、時間帯によって直射日光が当たっていないか確認するように気をつけておきましょう。
部屋の温度が高すぎると、胡蝶蘭は枯れてしまいます。特に夏場の日中は室内の温度管理が非常に重要です。冷房で室内の管理をするだけでなく、換気をするなどして、胡蝶蘭が育ちやすい環境に近づけるよう工夫しましょう。
ただ、夏場に風通しを重視してしまうと、窓際周辺の温度が上がる可能性があります。胡蝶蘭のお花が萎えてしまう原因になるので、夏場は特に置き場所に注意しておくと良いでしょう。日中と夜間など必要に応じて場所を変えることで、温度管理がしやすくなります。そのほか、冷房の風が直接当たって乾燥させてしまわないように気をつけてください。
2-2.部屋の温度が低すぎるとどうなる?
部屋の温度が低いと胡蝶蘭のお花が枯れてしまうことがあります。冬場は、暖房で温度を上げる工夫も必要です。ただし、夏場と同じように、暖房の風が直接当たることでお花が弱くなり傷んでしまいます。暖房の風向を調整することを忘れないようにしましょう。
冬場は暖房を使用していなくても乾燥気味です。そこで暖房を使用するとさらに乾燥してしまい胡蝶蘭にとっては育ちにくい環境となってしまいます。乾燥がひどい時は、加湿器を使用するなどの対策が必要です。
また、乾燥を気にしすぎて、お水をたくさん与えないようにしてください。水を与えすぎると胡蝶蘭をさらに弱めてしまう原因となります。胡蝶蘭は補給できる水分量が多いだけでなく、空気中の水分を取り込める性質を持っています。植え込み材などが湿っているのであれば水分は足りている状態です。乾燥が気になる時は霧吹きを使用して、お花や葉に水分を与えるようにしましょう。
3.温度だけでなく、湿度にも注意
胡蝶蘭は原産地が熱帯雨林のため、温かくて程よい湿気のある場所をとても好みます。そのため、温度と合わせて湿度にも気を配るようにしましょう。本来の生育環境に近いのは60~80%のやや高めの湿度です。適切な湿度でなければ、蕾が黄色く変色したり、蕾自体が落ちたりします。また、せっかく咲いたお花や株自体が衰弱してしまう場合もあるのです。胡蝶蘭を育てる上で、温度と同じように湿度管理も非常に大切です。
冷暖房の使用には注意を払い、乾燥しない環境を作りましょう。冬場は加湿器を使用するなどして湿度を高くするように心がけてください。また、冷房を使用する夏場でも乾燥することがあります。1日に数回、霧吹きなどで乾燥を防ぐことも大切です。
その際は、胡蝶蘭のお花だけでなく、葉や根の周りなどにも水分を与えてあげましょう。
ただし、乾燥しているからといって水やりを多めにすることは絶対に避けましょう。水を与えすぎると、胡蝶蘭自体が弱くなってしまいます。霧吹きを使用するなどして乾燥を防ぐように心がけましょう。
まとめ
胡蝶蘭を育てる際の温度管理や湿度についてご紹介しました。
適切な温度や湿度は、胡蝶蘭を育てる上で非常に大切です。
胡蝶蘭の育ちやすい環境を作ってあげることで、可憐なお花を長く楽しむことができます。
少し手間はかかるかもしれませんが、温度計などを利用してこまめにチェックしていきましょう。
カシマ洋蘭園のスタッフです。胡蝶蘭のお世話のやり方や贈る際の注意点など、わからないことがあればぜひ参考にしてみてください