大切に育てている胡蝶蘭にもし虫がついてたら、害虫であるかどうかを見極めなければなりません。
害虫であった場合は素早く駆除・対処する必要があります。
この記事では胡蝶蘭に発生する代表的な害虫とその対処法、また駆除をする上で使ってはいけない薬も紹介します。
1.胡蝶蘭に湧く虫とその対処法
1-1.駆除したほうがいい害虫
ハダニ
体長0.3mm~0.5mmの小さな虫。その名の通り胡蝶蘭の葉につくダニです。
主に梅雨明けから8月の高温で乾燥した時期に発生しやすいですが、胡蝶蘭の適温範囲内であれば一年中発生する厄介な害虫。
赤色の小さな虫で、葉の裏に寄生して葉の水分や養分を吸収し、葉がベタつきや変色を起こし株が弱って枯れる原因になります。
ハダニを予防するには、高温乾燥期になったらこまめに霧吹きで葉に水をかける葉水が有効です。
万が一発生してしまった場合は、「ケルセン乳剤」「テルスター」などを寄生した部分に散布しましょう。
コナダニ
とても小さく肉眼で発見する事は難しいので原因に気づけない場合も多いく、注意が必要なダニがコナダニです。
コナダニはハダニとは対照的に湿度が高く、光が届かない暗いところに寄生します。その為ミズゴケやバークなどの有機物の中で発生し、ハダニと違って植物はあまり寄生しないのも特徴の一つ。
あまり植物には寄生しませんが寄生すると胡蝶蘭のお花がしおれますので、綺麗に並んだ胡蝶蘭の花の内1輪だけが突然しおれた場合には、コナダニの可能性を疑いましょう。
予防策としては、有機物の肥料は避けて、胡蝶蘭を適切な環境で育てる事となので日頃の対応で防ぐことも十分に可能です。
万が一発生してしまった場合は、「ケルセン乳剤」「ペンタック」などを使用して下さい。
カイガラムシ
カイガラ虫は胡蝶蘭の発生する害虫の中で発生すると一度に駆除できない厄介な害虫の一つで、感染ルートは外の樹木から風に乗って飛んでくる場合や既に胡蝶蘭や植物に付着しいるケースがほとんどです。
くっついた際は名前の通り小さい貝のような殻みたいなものが付き、胡蝶蘭の養分・水分を吸い取ります。
一箇所見つけるとその周囲にも必ずいますので古歯ブラシや綿棒などでこすり落とし、こすり落とした後にカイガラ虫に有効なオリオンなどを駆除方法に準じて行ってください。
また1回で駆除しきることは難しいため、2週間に1回ほど継続して観察し、根気よく駆除をするようにしましょう。
尚、カイガラ虫に有効な薬は一般的に「マシン由乳剤」や「石灰硫黄合剤」と言われておりますが、胡蝶蘭には有害となりますので使用せず、「オリオン」が薬害も出にくく効果もありますのでこちらを使用すると良いでしょう。
コナイガラムシ
コナカイガラ虫はカイガラムシの種類の一つで、白く綿みたいなものが付きます。こちらもカイガラムシ同様、一度に駆除できない厄介な害虫です。
胡蝶蘭の葉の裏に付くことが多いのですが花や根にも付くことがあり、放置すると排泄物に黒い糸状菌が付着し病気の原因となります。
一般的な駆除方法はカイガラ虫と同様になりますが、コナカイガラ虫が根に寄生してしまったら場合「オリオン」が有効となります。
「スプラサイト」は薬害によって株が枯死することもあるので使用は控えましょう。
スリップス(アザミウマ)
4月中旬あたりから、高温で乾燥する時期に発生する体長1~2mmの細長い害虫です。
胡蝶蘭の花弁に寄生して「花」や「蕾」の傷め、花弁の縁が黄色く変色した場合スリップスを疑いましょう。また幼虫は根っこの方にいて、根を食べることもあります。
発生した場合は「アドマイヤー・アセフェート水和剤(オルトラン)」で防除すると良いでしょう。
ナメクジ
特に屋外の梅雨時期に出やすくナメクジは胡蝶蘭を食べてしまいます。
銅板を胡蝶蘭の周りに設置すると予防になります。
アブラムシ
スリップスの時期と同じ頃に発生し主に外部から飛んできて寄生します。
胡蝶蘭の花・蕾・花茎の先端につき、蕾が落ちたり開花しなくなったりしますので、発見した場合は放置せずにすぐに駆除しなければなりません。
駆除には「テルスター・オリオン・アドマイヤー等」を使用しましょう。
アブラムシは光るものを嫌う性質がありますので、胡蝶蘭を飾る際にアルミホイルを鉢の下に敷いておくと予防になります。
アリ
胡蝶蘭には、葉の裏から蜜のような液が出ていることがあり、アリが寄ってくることがあります。
一見すると無害にみえますが、胡蝶蘭の歯の裏から出る成分を吸うために外部から入り込んだアリが根元に巣を作り、放っておくとどんどん汁を吸うため衰弱の原因になってしまいます。
鉢の外に巣がある場合は、巣薬剤散布よりも、粒状の害虫駆除剤の方が巣ごと駆除できるので効果的です。 土の中に巣がありそうな場合は、植え替えを行ってください。
コバエ
腐った根などに発生し急に現れます。水バエなど小さい虫は何の害も無いことのほうが多いですが、一部のコバエは蕾を傷つく原因となりますので薬品などで駆除しましょう。
またコバエが発生している場合は根が腐っている可能性がありますので、ミズゴケを変えるか胡蝶蘭の植え替えを行いましょう。
2.害虫を駆除する際に使ってはいけない薬
上記にあげた害虫を見かけた際に、少しでもはやく駆除し胡蝶蘭を害虫から守ってあげるというのはとても大切なことです。
ただ、「上記の害虫には効果があるけど、胡蝶蘭には使ってはいけない薬」というものがいくつかあります。
「マシン由乳剤」や「石灰硫黄合剤」
カイガラムシに効果のある薬剤です。
ただし胡蝶蘭に使用すると薬害となり、胡蝶蘭が枯れる原因にもなってしまうので、カイガラムシには「オリオン」を使用しましょう。
プロピレングリコール(PG表記)が含まれているもの
プロピレングリコールは化粧品や歯磨き粉、シャンプーなど様々なものに含まれています。
プロピレングリコールが含まれている中性洗剤はカイガラムシに有効ですが、これも胡蝶蘭にとっては薬害となってしまうため使用は控えたほうがいいです。
まとめ
胡蝶蘭に発生する害虫とその対処法、使ってはいけない薬を紹介しました。
害虫はどれも胡蝶蘭の健康に関わるので、見つけた際は素早くどの害虫かを特定し、対処しましょう。
カシマ洋蘭園のスタッフです。胡蝶蘭のお世話のやり方や贈る際の注意点など、わからないことがあればぜひ参考にしてみてください