パフィオペディラムという洋蘭をご存知でしょうか?カトレアやデンドロビウムなどが洋蘭の中では一般的に知られている蘭ですが、パフィオペディラムも世界4大洋蘭の一つです。
他の洋蘭とは少し異なった花の形と種類によって様々な模様から多くの愛好家がおり、洋蘭の中でも育てやすいということから人気の品種です。
この記事ではパフィオペディラムの特徴や花言葉、育て方のポイントなどについて紹介します。
1.パフィオペディラムとは
パフィオペディラムは中国やインド、インドネシアなどの東南アジア一帯に、約60~120種の原種が幅広く分布している洋ランです。基本的には土に根を張る地生蘭が多いですが、木や岩に根を張る着生蘭の品種もあります。
パフィオペディラム特徴は、なんといっても他の洋蘭にはない花の形です。花びらのうちの3枚は上と左右に広がり、下側にはリップと呼ばれる袋状の花びらがついています。この袋状の花びらを持っている見た目から、よく食虫植物と間違われることがありますが食虫植物ではありません。
袋状の花びらがスリッパに似ていることから、ギリシャ語の「パフィア(女神)」と「ペディロン(スリッパ)」が語源となって、「パフィオペディラム」という学名が付けられました。
また、スリッパのようなその見た目から「Lady’s slipper(レディーズスリッパ)」や「ヴィーナスのスリッパ」という呼び名も持っています。
洋蘭の中では比較的低温に耐性があり、5℃程度の温度で冬越しが可能など、他の蘭と比べて育てやすく園芸用として日本での愛好家も多いです。
学名 | Paphiopedilum(パフィオペディラム) |
英名 | Paphiopedilum(パフィオペディラム)
Lady’s slipper(レディーズスリッパ) |
科・属名 | ラン科・パフィオペディラム属 |
原産地 | 東南アジア、中国、インド |
開花期 | 12~6月(種類によって異なる) |
花の色 | 茶,緑,黄,白,ピンク,複色 |
2.パフィオペディラムの花言葉
パフィオペディラムの花言葉は「ヴィーナスのスリッパ」という呼び名から美と愛を象徴する女神ヴィーナスから「変わりやすい愛情」「官能的」「気まぐれ」という花言葉を持っています。
他にはパフィオペディラムの花や葉にはさまざまな模様があるので、「優雅な装い」という花言葉もあります。
3.パフィオペディラムの育て方のポイント
3-1.栽培環境・置き場所
パフィオペディラムは他の蘭と違い、あまり強い太陽光を好みません。一方、風通しの良い場所を好むので、夏は戸外で50%の遮光ができるようにしましょう。冬はカーテンのレース越しに日光が当たるようにするとちょうどいいです。
戸外に置く際は、長雨に当たると腐ってしまうこともあるので、注意が必要です。
3-2.鉢植えと用土
水はけがよく、かつ鉢内が適度に湿り気をもつ植え込み材料を好みます。水ゴケや細かなバークと軽石を混合したものを植え込み材に使い、それらと相性のいい鉢植えを選ぶようにしましょう。
水ゴケの場合は素焼きの鉢植え、細かなバークと軽石を混合したものを使う場合はプラポットや陶器鉢がおすすめです。
3-3.水やり
1年を通して、植え込み材がやや湿っているような状態に保ちます。特に春から秋は生育期なので、乾いていると感じたらたっぷり水をあげてください。
冬は、生育期に比べたら水は少なめで乾燥気味に育てます。乾燥しているなと感じたら、ときどき葉っぱに霧吹きで水を与えるようにしましょう。
3-4.肥料
液体肥料を中心に施しますが、根が弱いため、根への負担を減らすためにも1000~3000倍程度薄くして、月に2.3回施します。
緩効性化成肥料などを与える場合は、施す量は少量にしてください。
3-5.病気や害虫
病気は軟腐病に注意が必要です。細菌が原因の病気で風通しなどが悪い状態が続くと株元によく発生し、根元から腐りはじめ、次第に枯れてしまいます。風通しを良くし、株の間隔を空けて予防しましょう。
一度かかると完治するのは難しい病気なので、病気にかかった根や葉はすぐに取り除いてください。
害虫はカイガラムシに要注意。カイガラムシは葉の中心部に入り込み、株を衰弱させます。小さく白いものが見えたらカイガラムシを疑いましょう。見つけた場合は綿棒などで優しくこそぎ落とします。
3-6.植え替えの時期とそのやり方
植え替えは基本的に1年おきに、春(4~5月)に1回り大きな鉢に植え替えをします。根の本数があまり多くはないので、根に付いた土や水苔を落とすときは丁寧に取り除き、新しい植え込み材料で植え込みます。
植え替え後は2週間ほど、水や肥料をあげるのは控えましょう。
3-7.パフィオペディラムの増やし方
パフィオペディラムを増やす際は、株分けをして増やします。株分けを行うのに適した時期は4~5月、植え替えと同時に行うと効率的です。
あまり細かく株を分けすぎると生育が悪くなるので、2~3個に分けましょう。
まとめ
パフィオペディラムについて解説しました。
スリッパのような見た目の袋状の花びらが特徴的な蘭です。他の蘭に比べて育てやすいことから、国内にも園芸用として多くの愛好家がいます。
お花屋さんで見かける機会はあまりありませんが、蘭を専門で扱っているお店などでは流通しているので、生育を考えている人はぜひお店を探してみてはいかがでしょうか?
カシマ洋蘭園のスタッフです。胡蝶蘭のお世話のやり方や贈る際の注意点など、わからないことがあればぜひ参考にしてみてください