「根腐れ」とは、「根が傷んで腐ってしまった状態のこと」です。
生きるうえで必要な栄養を吸収する根が腐ってしまうと、株が急激に弱り、最悪の場合は胡蝶蘭が「枯死(こし)」してしまいます。
そうなってしまう前に、根腐れの原因や対処法を確認しましょう。
1.根腐れの見分け方
根腐れの見分け方として最もわかりやすいのは、葉と根です。
葉と根以外にも根腐れが起こると根腐れの症状が出るので確認してみましょう。
1-1.根腐れによる葉の症状
胡蝶蘭の「根腐れ」はゆっくりと進行しますが、初期症状は葉に現れます。
葉にツヤがなくなりシワシワになるのは、根腐れの代表的な症状です。
1-2.根腐れによる根の症状
胡蝶蘭の根が黒くなる
胡蝶蘭の健康な根は太く、白っぽい緑色をしていることが多いので、わかりやすいでしょう。たくさんの根が黒くなっていたら根腐れの可能性が高いです。
根が黒くなってしまったら完全に根腐れしている、というわけではありません。
一部だけが黒くなっているけど葉はツヤツヤしたままのときなどは根腐れではないという可能性もあります。
根にカビが生えている
根にカビが生えているというのも根腐れの症状としてあります。
植え込み材にクモの糸のようなものがついていたりキノコのような匂いがするなどの場合はカビによる根腐れを疑いましょう。
1-3.根や葉以外の根腐れの症状
根や葉以外の根腐れの症状も紹介します。
根や葉以外の見るポイントは「茎」「花」「植え込み材」です。
茎 | 葉ほどではないが茎のもシワができる。 |
花 | 花が咲かなかったり、以前に比べ花が枯れるのが早い。 |
植え込み材 | カビ臭かったり、表面に白いカビが発生している。 |
2.根腐れが起こる原因
胡蝶蘭の根腐れの原因は主に2つ、「水のやりすぎ」と「肥料のやりすぎ」です。
それぞれを詳しく見てみましょう。
2-1.水のやりすぎで根腐れが起こる理由
水をやりすぎると鉢内の水はけが悪くなり、胡蝶蘭の根が蒸れる状態が続きます。
胡蝶蘭の根は蒸れに弱く、常に蒸れていると多湿を好むルゾクトニアやフザリュームなどの細菌に感染し、そこから根腐れを起こします。
水のあげすぎを防ぐためのポイントは、単純に水をあげすぎないことです。
目安としては水苔を手で触ってみて、完全に乾燥してからで全く問題はありません。季節によっても左右されますがおおよそ10〜20日に1回コップいっぱい分の水(100〜150ml)をあげれば十分です。
水をあげたあとは、受け皿に水がたまることがありますが、受け皿にたまった水は必ずその都度捨てましょう。
2-2.肥料のやりすぎで根腐れが起こる理由
胡蝶蘭は、もともと栄養の少ない環境で自生する植物です。
そのため、与えた肥料が胡蝶蘭にとって負担となり、根が傷んでそこから根腐れを起こすことがあります。
胡蝶蘭の生育に基本的には肥料は必要ないと考えましょう。
基本的には肥料は必要ないですが、肥料を使っても問題のないタイミングというのはあります。
こちらの記事を参考にしてみてください。
https://kashima-youran.com/column/phalaenopsis-flower-bud/
3.根腐れの対処法は「植え替え」
根腐れの対処法は鉢を移し替える「植え替え」です。
必要なもの
- 刃先を火炙りして消毒したハサミ
- 通気性のいい鉢
- 水苔
この3つがあれば植え替えできます。
3-1.植え替えの手順
道具が用意できたら以下の手順で植え替えを行いましょう。
健康な根を傷つけてしまわないよう、株は丁寧に扱ってくださいね。
鉢から株を取り出す
株から鉢を取り出します。
根を傷つけてしまわないよう、気をつけてください。
腐った根を切り落とす
根の周りの古い植え込み材を取り除き、黒く変色していたり、触ると崩れたり、スカスカした感触の根は腐っているので、すべてハサミで切り落とし健康な根だけを残します。
根に水苔を巻き、新しい鉢に移す
健康な根だけを残したら、新しい植え込み材を根に巻き付けて、新しい鉢にギュッと押し入れます。
根腐れでダメージをおい、さらに植え替えで体力を消耗している胡蝶蘭にとって、植え替え後はかなり疲れている状態です。
さらなる負担をかけないように、水やり・肥料は2週間ほど控えましょう。根が新しい環境になれる前に水やりをすると、また根腐れの原因となってしまいます。水分をあげるには葉に霧吹きをしてあげましょう。
まとめ
根腐れの症状や原因、その対処法について紹介しました。
「胡蝶蘭には水をあげすぎてはいけない」という知識がないと、普通の花同様、水をあげてしまいがちですが胡蝶蘭にとっては厳禁です。適切な頻度で水をあげて管理しましょう。
カシマ洋蘭園のスタッフです。胡蝶蘭のお世話のやり方や贈る際の注意点など、わからないことがあればぜひ参考にしてみてください